〜Field日記2002.05.18-19〜

魔性の谷に遊ぶ、われら中年隊!

 今年もネット仲間とオフ会が実施された。場所は長野県秋山郷奥の某沢としておこう。メンバーは前回と同様、案内人兼の一風さん(新潟県)、mac3さん(岐阜県)、弟子から昇格した助手さん(岐阜県)と私(東京都)の四人。誰が見ても、どこからみても中年隊である。行事内容としては、”ヒメサユリ見学会”と”魔性の山菜=ギョウジャニンニク観察会”の二本立て。それに今回はナイトキャンプをあえて取入れた。理由は簡単、自然を愛するものは自然に同化する必要があるからだ。山中の息遣いを体で感じながら闇夜に融けていくことがとても大切。出発一週間まえから運悪く職場で性質の悪い風邪をうつされ参加が危ぶまれたが、栄養補助剤を大量投与したりとかしてなんとか強引に回復へもっていけた。
18日朝10時、加茂市にある一風さんのお店で集合したわれら中年隊は、第一の目的地、新潟県南蒲原郡下田村へむかう。この村中に” ヒメサユリ”群生地がある。途中の道端のところどころに「熊出没につき注意」のたて看板がでていたが、ちょっと気になるところではある。

 ヒメサユリの群生地は、村の奥にある山城跡に咲いていたものを村人が大事に増やしていった結果である。ひめさゆりは、一般的に高所に生育していることが多いが、ここはせいぜい300mくらいであり非常にめずらしいらしい。
 左の写真をみていぶかしがる方がいるかもしれない。およそ群生とはおもえないのだから。実際にはそこかしこがヒメサユリだらけなのである。これは、敢えてヒメサユリの風情を強調したいがゆえのカットである。
 今日は小雨模様であり、最もヒメサユリが引き立つときではないだろうか。しっとり濡れた雑木林でひっそりと息づく姿に、サユリストならずとも虜になること請け合いである。

 昼の腹ごしらえをした後、いよいよ魔性の谷へ向けて出発。今夜はナイトキャンプなので途中あっちこっちに引っかかりながら食材を調達することになった。といっても案内人の一風さんが、だいたい何々はどこで採れる、何々はあそこで採れると自分のシロを提供してくれたので、さして苦労を厭わず大概のものがそろったのである。

 まずピックアップしたのはウド。今年はほとんど採っていない。しかし、ここの場所はウドだらけだ。他の場所ではそんなに見かけていないので、ここは一風さんのウド畑なのだろう。少しばかりだが、ジダケもでていた。次に案内してくれたのはアイコ畑だ。長野の人たちはアイコを採らないらしい。ぶっ太いやつがそこかしこにでている。20年のキャリアをもつ一風さんの独壇場だ。

 

 今晩のおかずのみならずお土産分まで採取したのはいうまでもない。鍋に放り込む材料をしこたま抱え込んで今夜の泊まり場=ナイトキャンプ地へと赴いた。トイレ休憩した切明温泉雄川閣駐車場では、目聡いmac3さんがエノキタケを発見、思いもよらぬ珍品に一同おおいに喜んだ。ナイトキャンプ地はこの近くにすることにした。理由は簡単、雄川閣の裏を流れる河原で、タダの温泉に入湯るからだ。

  比較的平坦なところに2台の車を尻合わせにし、間にビニルシートを張って雨露をしのいだ。いくら一風さんが雨の中が好きだといっても、雨の中で天ぷらをするわけにいかない。今夜のご馳走は、山菜てんぷらと闇鍋。さっそく一斗缶でガンガン薪を燃やし鍋に湯を沸かす。あとは勝手にどんどん材料を放り込むだけだ。といっても基本はあって、サバの水煮と味噌がベースの味付けであるらしい。私はというと、採りたてのキノコや山菜を大雑把に切りなにも考えず追加していくだけ。ジダケは皮付のまま火に炙る。焦げ目のついたやつをふーふーいいながら皮をむいて口に放り込む、これがうまいのだ。ビールを飲みながら談笑に移っていく。赤く揺らめく炎は艶かしい。

 日は暮れてどんどん暗くなっていく。そしてどんどん寒くなっていく。ここは標高1300mくらいだろうか、元気な皆さんがうらやましい。一風さんがやっと気づいてくれて、じゃ温泉はいりにいきますかと口火を切ってくれた。他の二人はそれほど温泉、温泉、と騒ぐほうじゃない。おもむろに河原の野湯にむかった。真夜中とはいえ、雄川閣の明かりが川面をてらしているので、それほど不自由はしなかった。河原に服を脱ぎ捨て水溜りを見つけて入ってみるのだが、熱くて冷たい。石をどかしたり水を汲みいれたり、お互い協力して湯温の調整に努めなんとか浸かれる程度にはなった。旅館の湯に浸かるのとは比較にならないが、こういうのも野趣があっていいものだと一同納得した、とおもう。雨がふっていたので、車中泊となったが、いまいち閉所恐怖症ぎみの私はニガテである。寝袋の中でじっとしていられないのだ。結局うろうろ朝までしていたように思う。一風さんは3秒とたたないうちに朝になっていたみたいだ。このへんが常人と鉄人の違いか。

−《19日》−

ウワミズザクラ

山ザクラ

  4時半、中年の目覚めは早い。mac3さんが釣りをしたいというので取敢えず魔性の谷出合いまでいって、そこで朝食をとることになった。現地ではさっそくルアー片手に谷へ降り立っていったmac3さん。私もフライを持って降りたが、とても釣れる気がしない。キョロキョロしていたら滝横の岩盤に魔性の山菜がへばりついているではないか。さっそく少し採取して上で朝食準備をしているお二人さんと合流、カップラーメンに入れて食べてみた。うっ、うまい!これだ、これだ。今日の目的はこれにあったのだ。 一同朝食を済ませ7時半出発。沢伝いに、右岸、左岸と交互に踏み込みながら魔性の山菜が群生しているというナメ滝へむかう。しかし、ここには魔性の山菜があるばかりではなかった。なんと、絶滅に瀕しているといわれる魅惑の山野草“シラネアオイ”の群生地でもあったのだ。(場所の明記は差し控えます)一風さん、ここまで公開していいの、とおもうがその友情に感謝したい。渡渉中にも、名前の知らない黄色い花(リュウキンカ)やニリンソウの群生に感嘆したり、突然広がる魔性の山菜の群生に嬌声をあげたりとめくるめく感動に酔いしれながら沢水を蹴散らして遡行をつづけた。

ゼンマイ

リュウキンカ

ニリンソウ

バイケイソウ

ギョウジャニンニクの群生

 最終地付近のナメ滝についたのは4時間後の11時半。ここでお互いの友情の証、集合写真をとる。おもいおもいのポーズにはそれぞれの思い入れがあるのだろう、それがわれら中年隊である。

 出発点に戻る途中の斜面で助手さんがゼンマイを採っていた近く、一風さんも駆け上がっていったとおもったら「山アスパラじゃない?」とわれわれを呼んだ。30cm以上に伸びたオオナルコユリがニョキニョキ5〜6本でていた。急いで駆け上がったmac3さんはすぐ傍らで15cm大が十数本でているのを発見、あいかわらず目聡い。そのあと皆で周辺をくまなく探索したが、ここだけだった。

 帰りがけの駄賃にしてはできすぎの大きな収穫であったと一同喜んだ。(これも一風さんの畑ってことはないよね?、だったりして。。。)
昼食のソバを食べに小赤沢にある
楽養館へむかった。一風さんが温泉好きの私のために選んだとっておきの温泉だ。鉄成分が含まれているため、湯が空気に触れた時点で赤色化する。40度くらいのぬるめだったのでmac3さんも文句をいうどころかゆったりいい気分で楽しんでいたみたいだ。

ここでmac3隊は岐阜へ、一風さんと私は燕三条へと再会を誓って別れた。14時半。